昭和、平成、令和と流れてきた時代に、パソコンは目覚ましい進化を遂げた。
古とも言える時代の事を書くと、今では考えもつかないだろう。
電話番号を送信すると、何処でもキャッチできるポケベルに喜んだ時代。
文字を書かなくても、キーボードで打つと文字が出て年賀状を作れると喜んでいた時代。
文字を二十文字までなら、無料で送信できると喜んでいた時代。
少し前には写真を撮って、その後現像しなくてもすぐ見れるという時代が訪れ
今となっては更に自動化が進み、人間の代わりに運転を行うものまでできてきた。
この先は更なるAIが進み、想像を超える物が出てくるのであろう。
この先にこの時代を笑う日が来るのが待ち遠しい。
しかし無くなるものもあれば、当然残されているものもある。
おせち料理の中身の作り方などが詳しく取り上げられたりする。
節分にはイワシの頭と柊を玄関にそえるが、鬼が出たとは聞いたことがないし
雛人形を出した家は、早い目にしまわないと女の子は行き遅れる原因になると揶揄され
五月人形は一人に一体と、五人兄弟すべて男だとどうするんだと首をひねる。
七夕は一年に一度の出会いの日と見上げるが、ここ数年星空を覚えもない。
九月はお月見とシルエットがウサギに見えるそうだが、想像力が飛躍しすぎで
ハロウィンは乗っかった企業努力と若者達の頑張りで今日の盛り上がりとなり
クリスマスにおいては、なぜか既にバブルの香りがしない訳でもない。
他にもあげたら非常に効率が悪く、なんの根拠もない事柄が増え
もうそれらの事はよいのではないかと思うようなこともある。
「 全てを否定したいのか? 」と問われると 「 否 」 と即答したい。
これだけ現在の科学とも言うべき研究が進んだとしてもこれらの考えを残し
風習や習慣 日常の楽しみとして残っているのはものすごく愛おしかったりする。
私は日本が非常に好きな人間なのである。
その一つに七草粥と言うものがある。
大昔の話をしよう。
大昔は正月に店開けるところが少なかった。
いや、ウソをついた。
私の地域では、全て7日程度まで休んでいるので困った。
なぜ困ったかと言うと、実際には暇で行くところがなかったのだ。
しかし家族で母は本当に困り果てていた。
年末に買いだめる量は半端ではなかったのである。
年末から年明けの分の食料と、正月の人が集う食料分を保存する必要があった。
記憶に鮮明にあるのだが、廊下に並んでいた袋の数が尋常な量ではなく
まるで牛でも飼っているのか?という積み上げられた食料に内心ワクワクしていた。
記憶に一度あるが、11日まで近隣の店が開かない年があり
途中でどうしようかと、親と近所の人が解決しない話を延々していた記憶がある。
今年も丁度、8日から三連休なのでこういった時であったのだろう。
現在では1日から開いてる店は特に珍しくもない。
昔の話をした理由をこれから書き記す。
書き記した通り、やはり食べ物というのは非常に困るのである。
保存方法は冷蔵庫しかないのだが、容量は限られ冬といえどもやはり長期は腐るのである。
自然と味付けを濃くし、長持ちをする食材と調理方法を選択せざるを得ない。
それでいて新年を迎える日に際して、言葉遊びではあるが縁起を担ぐ食材があった。
皆さんお分かりかと思うが 「 おせち 」という手間と時間を存分に投入する料理だ。
おせち料理は好きではなかった。
何を贅沢な事をと言われそうだが、ちいさな子供が昆布を好きになるだろうか?
「 くわい 」や、「 煮物 」「 黒豆 」「 田作り 」「 なます 」
今の若い世代なら、上記の中で口にするどころか知っているかも怪しい食材である。
しかし何せ食べるものがないので、それを食べるしかないのである。
今ならこの料理たちの美味しさと、手間の多さと美しさを理解する事が出来る。
だが子供の舌を喜ばせるものが全く入っていないので、我慢して口に入れ飲み込む。
それらの全ては、味云々と言うものではなくお腹を満たすものとしてしか見れないのだ。
そうして文字通り?冬の時代をすごし、正月から1週間後のその日に七草粥をいただく。
昔の人は年末年始の食が乱れるだろうと、よく考えたもので胃休めという感じでしょう。
先人達の知恵というか気遣いなのだろうか? 素晴らしいとおもうのだ。
ほんのり塩のきいた水分が多い目のおかゆに七草の香りが喉を通る。
この優しい味が私は今も昔も本当に大好きなのである。
ペロリと一瞬で平らげる。
塩味に少し苦味のある大根やカブがアクセントとなり
何杯でも飲み物ように、飲むように食べれるというのはこのことであろう。
その粥を食べると同時に、あぁ正月も終わったんだなぁという気になる。
正月明け一週間が経ち、すぐに三連休となっている。
皆様におかれましては十分にご静養の上、来週からに備えていただきたいと思います。
P・S【昭和】
因みに胃休めの為の七草粥で腹を満たしたかったのだが一杯分しかないのだそう。
泣く泣く何かないかと嫁さんに言うと、電子レンジの音を響かせてくれた。
夜の夜中に、デッカイ肉まんを三つ頬張った。
今現在、胃はフル稼働だと思う。