アメリカザリガニが放流と販売が禁止となる。
大昔から馴染みのある生き物で、皆さんもよく知る方も居ると思う。
私も昔は大量に取ってきて、飼育した事を思い出す。
朝から見ていて、気が付くと空が暗くなっていたなどもあった。
https://youtu.be/wTdBXJcjZwY
このアメリカザリガニという異国より来訪した生き物は
昨日今日に、暴れ回ったのではないということはおわかりだと思う。
日本は昔、貧困に喘いでいた時がある。
貧乏なだけではないのだ、食べ物にさえ困窮していたのだ。
それはそうである。
日本は戦争していた。
そして敗戦した直後からの話である。
各種農村地域などが、何か食べ物がないだろうかと
色々と考えた挙句「 ウシガエル 」が食用として輸入された。
その輸入されたウシガエルを養殖しようとしたのだ。
しかしウシガエルたちは食べるところがそれほどにない。
それでいて、餌をよく食べるので他の糸口はないかと考えたのである。
「 そうか、エサも増やせば良いのではないか? 」
そうして、1927年5月12日
神奈川県の鎌倉郡に20匹のウシガエルのエサ
「 アメリカザリガニ 」が持ち込まれたのだ。
たったの20匹である。
しかしこの生き物は、この場所で死滅する事はなかった。
アメリカザリガニを飼ったことがある方ならご存知かと思う。
彼らを飼いつづけるにあたり、水槽には必ず蓋が必要である。
何故かはピンと来る方は、一度はやられたことがあるはずだ。
彼らは水中から出て、陸を歩き他の場所へと移動することがある。
当時は田んぼなど、豊富だったのはいうまでもない。
そしてこの20匹から、今日の外来種問題へと発展する事となった。
日本の今現在、侵略的外来種ワースト100に選定されている。
かれらの生命力は非常に強い。
水の中で暮らしているのだが、その水は劣悪でない限り生存する。
それだけではなく、水から出ても暫くは何ともない。
雨の日なら無限ともいえる移動を可能とするだろう。
しかも彼らは雑食性で、大きなハサミを持っており
それで挟んで獲物を捕らえたり、ねぐらを作ったりする。
空腹でも非常にタフで、木の枝なども食べて凌ぐこともある。
そしてそれらの小動物などを食べるだけならいいのだが
彼らは知ってか知らずか、特徴が非常に厄介なのである。
水草などに隠れる獲物を捕らえて食べる。コレは良い。
しかし水草自体も食べるのだ。コレが厄介。
水草を食べ尽くすと、居場所をなくした魚や小動物
これらを今度は狙っていくのである。
しかも上記に記したように雑食性で、水の汚れにも強い。
水草などを失った池は、呼吸をする方法を失う。
魚などが放出した二酸化炭素を吸収し酸素を放出できなくなり
池の水など循環をする事を忘れさせ、急速に水を濁らせ視界を悪くさせ
生態系を壊すだけではなく、池の循環機能なども奪う生物なのである。
空の敵からも、この視界の効かない泥水が味方したとも思える。
日本にはニホンザリガニと言う在来種がいる。
この在来種の生存も当然ながら脅かされている。
今では野生で見る事は珍しく、私も数える程しかない。
このニホンザリガニというのはきれいな水でしか生きれないのである。
しかも結構、ストレスなどにも弱く全くの正反対なのである。
アメリカザリガニのように淀んだ水などでは生きられないのだ。
そしてザリガニカビ病という、病気なども非常に弱い。
アメリカザリガニは、この病気に免疫があるのだ。
これらも増える事にプラスしたのではなかろうか?
まだある。
彼らは卵のまま放置する繁殖方法ではなく、メスがお腹で卵を抱えて
孵化し、ある程度大きくなるまで待って、各々が旅に出るような形となる
これも生存率が上がり、大繁殖の理由となっていると思うのだ。
また個体が強く、増える量が早かったのもあるが
その他に、当時の日本は戦争後で非常に貧しかった。
憶測ではあるが、これにより食べ物が決定的に不足し
ザリガニを捕らえて食べる事で命を繋いだ方もいると思う。
これにより全国へ、さらに生息地が増えたのかもしれない。
ある程度の月日が過ぎ、放流と言う行為があったように思う。
「 食べて個体数を減らす 」という選択肢はなかったのだろうか?
と思うが皆さんは普段ザリガニを食べているだろうか?
それが誰もが納得する答えである。
ウシガエルは・・・・・。
お聞きするまでもないだろう。
しかしなぜ、今更このような形になったのだろうか?
とっくの昔に「 ザリガニ 」の存在は分かっていた筈です。
今までも十分以上に、外来種として恐怖の対象とされていたはずだ。
それの理由が皮肉なことに外来種なのに日本に馴染みすぎていた事だ。
例え話をしましょう。
もし1ヶ月後に特定外来種の飼育を禁止するとお達しがある。
あなたは、ザリガニを大量に庭に飼っていました。
近くに大きな川があり、反対には大きな池があります。
答えは非常に容易ですよね。
そして気軽に飼えることもあり、子供たちの教育的な観念から
それもできずに今日を迎えたのであろうとおもうのです。
ですので、今回「 放流と販売の禁止 」なのです。
まとめ
世の中には偶然というものが多数存在しています。
何かのきっかけと言うものは色々なものがあるのです。
昨日まで隆盛を誇っていた会社や、売れていた商品が
今日は全く必要とされなくなり、閑古鳥が鳴く等は珍しくない。
また反対に、昨日までは見向きもされなかった物が
何らかのきっかけにより、在庫が一切手元から消え失せ
店に注文が引っ切り無しに入り、増産も追いつかない状況もある。
世の中には色々と、先の読めないことが幾多とある。
当初20匹の小さな生物が、後何十年も経て日本という島国の
海を隔てて土地が存在する、あちらこちらの場所に出没し
全国に広がり駆逐することさえ困難となるようになるとは
ウシガエルの食用として、持ち込んだ時には誰が想像しただろうか?
この話で言いたいことは、外来種に罪はない。
ウシガエルは日本にはいなかったのです。
アメリカザリガニはいなかったのです。
そして、良かれと思い輸入をしたのです。
今の日本では、すでに存在が迷惑となり抑制される事となった。
彼ら自体に罪はなく、彼らは今回の事で被害者でもある。
ただ個人的には、彼らがいなくなると少しどこか寂しい気がする。
しかしこのような状態になって、全滅するというのは考えにくい。
今も各所で、元気に生息しているのだから。
たった20匹から始まった世界。
この生命力は、本当に見習わなければならない。